<   2006年 08月 ( 3 )   > この月の画像一覧

幾千光年の孤独。

c0072740_124653.jpg 霧島アートの森に点在する芸術作品群は、その芸術としての存在はもとより、それ自身によって森をアートに変容させるものでした。その統一されたコンセプト、そして、そこから逸脱する存在としての、草間彌生の毒々しいまでの繊細な感性。

 ダニ・カラヴァンの「ベレシート(初めに)」は、俺のハートを撃ち抜きました。芸術作品に対するこの感覚は、上野の西洋美術館で見たミロの「絵画」以来でしょうか。どちらも、考える前に胸に突き刺さるような芸術でした。


c0072740_1253422.jpg   カラヴァンの作品は、宙に浮いた歩廊。それは、崖のような場所に架けられた橋状の歩廊です。そして、その突き当たりはガラスの壁。一種のイニシエーションのような薄暗い歩廊を覗くと、その先には眩しい外の光があります。その歩廊を進めば、ガラスの向こうに、直線に切り取られた、豊かな山々の緑が目に入ります。

 日本神話ゆかりの地に対抗するような、「創世記」の一節が刻まれたこの作品は、キリスト教イデオロギーの強さというよりも、自然の普遍性、そして両思想のある程度の互換性を感じさせるものでした。ブリリアント。
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by kaz-young | 2006-08-23 13:05 | 泡沫浮世夢日記

あの夏、いちばん静かな海。

c0072740_040588.jpg 細く曲がりくねった道を抜けて、秘密の海に辿り着いたときに、北野武の映画を思い出しました。静かで、淡々としていて、悲しく、眩しい、あの映画です。先日のあの海は、この夏、いちばん静かな海でした。幸か不幸か、この夏、いちばん騒がしいメンバーと一緒でした。きっと幸でしょう。そういうことにしておきましょう。
 『カラマーゾフの兄弟』、読み終わりました。ドストエフスキーはやはり秀逸です。エクニの『泳ぐのに安全でも適切でもありません』、宮本輝の『青が散る』、ディケンズの『二都物語』、ブロンテの『ジェイン・エア』を購入しました。エクニの後書きは山田エーミでした。タイトルと物語の本質を捉えていないような山田の後書きに、少しだけ悲しくなりました。

「そう、陪審員のみなさん、ハムレットはあちらの話で、わが国では今のところまだカラマーゾフなのであります」 ドストエフスキー
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by kaz-young | 2006-08-17 00:53 | 泡沫浮世夢日記

多くのフェトのために。

 マニアックな論文と、エクニの小説を読んでいました。ただしエクニは、一晩の説明と討論無しでは、何もわからなかったことでしょう。素直に感謝。
 たくさんの嬉し懐かしい顔に会えました。珍しく、意外といける音楽にも出会えました。ええ、あれです。あれですとも。あそこにいなければ、一生聞かずにいたでしょう。
 少し遅く起きて、甘ったるいコーヒー飲んで、バスに揺られて帰ってきました。頼むから、誰か2,3発ぶん殴ってくれ、ってぐらいの気分と眠気のなかで、なんとかゼミを切り抜けました。
 『ノルウェイの森』は、フェト(祭り)だけではなく、祭りの後も描いているからこそ、価値があるのだと思います。花火を見て、綺麗だね、なんて言うだけじゃなくて、翌日のゴミの散らばった地面をも映し出す、そういう意味です。
 そういえば、夏の夜の街中を、打ち上がる花火を目指して歩きました。聳え立つビル群が邪魔で、天辺や端っこしか見えない花火を目指して...。なんだか、随分、昔のことのようにも思えます。
 あの街は人が多すぎて、やけに自転車が多くて、けれでも、とても素敵でした。
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by kaz-young | 2006-08-10 03:57 | 泡沫浮世夢日記